信じて待つ。それが人を大きく動かす。

最近とても感動した事

私はコーチングを仕事にしています。個人やチームの目標達成や問題解決のサポートをする仕事です。そしてコーチングの仕事ともう一つ、学童保育の仕事もしています。今日は学童保育の中の出来事から。    

その日は冬のキャンプの2日目でした。二泊三日で雪深い宿泊施設で雪遊びやコマ回し、けん玉、お話し会など普段できないような体験で子供たちの成長につなげていく事が狙い。

2日目の午前中はお話会(童話の一部分の劇)の準備の時間。朝九時頃から私担当のチームは集まって作戦会議を始めました。3週間位前から少しずつ用意はしてきたのですが、メンバー全員が集まるのはこの日が初めて。更に、参加メンバーも確定していなかったのでこの日に実際の配役、セリフ、全体練習をする必要がありました。私も今回のような小学生(1年生から5年生,中学生混成)の劇の指南役はしたことが無かったので少しドキドキしながら様子を見ていました。すると、全体的なメンバーの関係性が見えてきます。5年生のAちゃんは自由奔放、ムードメーカー、スイッチが入ると力を発揮する。4年生のBちゃんはリーダー気質、気配りができる、何でもできる。1年生のCちゃんはやりたいことだけやる、おとなしい、人前で話すことが苦手で動き回る事が好き。4年生のDちゃんは言葉を発さない(話しかけられても返答する事は殆ど無い)、意思表示や表現が非常に乏しい。中学生のE君はシャイで、仲良くなると良く話す、みんなに合わせるタイプ。この5人のチーム。

対立を見守る

中心はAちゃんとBちゃんで、2人が意見を出して色々と決めていきました。                                                      何かを決める時に出て来るのが、意見の対立。やはりここでも出てきました。E君の配役がまだ決まていなかったので、AちゃんBちゃんはそれぞれの意見を出します。「金の斧、銀の斧」の劇をやる事は決まっていて、その中でAちゃんは、E君に〈木こりに切られる〉の役をやって欲しいと提案。Bちゃんは〈ナレーション〉の役を提案。お互いがこっちの方が良いとケンカして譲らないので結局多数決を取ることに。すると、が圧倒的多数となりました。そこでAちゃんが積極的にのセリフや動き等をこうしよう、ああしようなど出してくれれば良かったのですが。。何も出てこないし、なんで私ばっかりと言う始末。。木に手を挙げたCちゃんDちゃんにどうしようかと私が尋ねても何も無く。Bちゃんもやっぱりナレーション役の方が良いじゃんという感じで、険悪なムード。私は「さぁ、どうしようか」と言い、しばらく見守る事に。しばらく沈黙のあと、Aちゃんは不満を独り言の様にブツブツ漏らしている。Bちゃんもその他の子供たちも完全に集中力を欠いている状態になった。その場の全員がもう駄目だという脳内になりかけた様子だったので、いったん休憩をはさむことに。

面白い事を見つけるサポート

休憩後、何とか良いムードを取り戻し、E君の配役はナレーションとなる。これで全員の配役、セリフも決まり、あとは実際の通し稽古に入りました。その中で私が気をつけたのは子供たちはどんな劇にしたいのか、どこが面白いと思うのかという事。「どんな感じにしたい?」と投げかけると、Aちゃんが「面白くしたい!」と言う。「じゃあ、どんなことしたら面白いかな?」など子供たちに質問を投げかけていく。そうすると、チームのみんなが楽しみながら、これどうかな、こんなの良いんじゃない、と意見を言い出すようになる。みんなで作り上げる物語。そうなるともう私は見守るだけで、たまにアドバイスする位でした。

信じて待つ。最後にはベストに辿り着く

約2時間の練習時間で通し稽古4回、修正改善も何回も繰り返し、良い作品が出来上がりました。チームのみんなも楽しめる、きっと観客のみんなも楽しめるものが。けんかや難しい場面もありましたが何とかなったなぁと私は安堵したし、子供たちもそうだった。その時までは。。

夕飯、お風呂を済ませ、20時からお話会(劇)の本番だなぁとドキドキしていると。女子部屋からトラブルの気配を感じる。。私のチームのCちゃんが泣いている。隣にはリーダーのBちゃん。

どうやら劇をやりたくないと泣き始めたようだ。午前中は楽しそうに練習していたのになぜだろう。理由を聞いても話してくれない。出て来るのは泣き声と「怖い、嫌だ」という言葉だけ。何があったのか、どんな心境の変化があったのか分からないが、時間は迫ってくる。あと1時間、あと30分。

学童理事の声掛けと、スタッフ、チームメンバーのサポートもあり、一時は泣き止み、いざお話会の会場の大広間へ。大人こども総勢40人位が集まった。

そこで先ずは6チームの順番をくじ引きで決める。1番来るな、1番来るなと願う中、、、       まさかの1番手。会場入り後から再度泣き始めたCちゃんは演技できる状態ではない。私はもう駄目か、どうなるんだろうと半分以上諦めかけた気持ちで彼女たちがみんなの前に立つ姿を見つめた。

順番が来てみんなの前に立ち、それで更に怖くなったCちゃんは大きな声で泣き続ける。Cちゃんが本当に一歩も動けない状態で、チームメンバーも動けず、演技は一向に始まらない。。会場のみんなもどうして泣いているんだろうという雰囲気。          

沈黙が何十秒たったのか分からないが、司会者さんが二番手のチームに先にやってもらえないかと提案をしてくれました。そのチームも快く引き受けてくれてその場はとりあえず劇はやらず、最後の出番に順番が変更となり、なんとかなる。  他チームの素晴らしい演技に更にプレッシャーを感じながら、それでも私は待つしかないと腹をくくりました。泣き続けるCちゃんを、チームのメンバーは励まし続け、諦めていなかったから。

約30分後、全チームの演技が終わり、わがチームの出陣。まだCちゃんは泣いている。歩いている時もそうだった気がします。でもやるしかない。頑張れ、私は心臓バクバクな状態で祈るように見ていました。

「金の斧、銀の斧」

劇が始まると、何とCちゃんは涙を完全に乾かし、しっかりと演技している。大きな声で。観客の笑いも取っている。他のメンバーも楽しそうに、会場を巻き込んで素晴らしい演技。独自のアレンジを効かせた最高の演技が行われました。最後の最後までドラマチックに何度も絶望を乗り越えた末のハッピーエンド。私は感動で心が震えました。涙があふれた。

乗り越えた先にあるもの

Cちゃんは自分の限界を超え、ベストを表現した。演技後、最高の笑顔を見せてくれた。やり切った達成感と自信に満ち溢れていた。それを会場の観客も感じ取ったのでしょうか、6チームの人気投票を最後にしたのですが、なんと1位を獲得!Cちゃんも頑張った、信じて支えたチームメンバーも素晴らしかった。何個も大きな壁を乗り越えたこのチームのみんなは何を得たのでしょうか。1つの事で成し得たこの結果を今後の人生でどう活用していくのか、信じて見守りたい。

まとめ

大人は子供に良い人生を歩んで欲しくて、「こうしなさい」「そんなことしちゃダメ」と言ってしまう事もある。それも親心として必要な時もありますが、

何も言わずに信じて待つ事が行動のきっかけになる事もあります

失敗も長い人生の中で大きな糧になる。

そんな視点で見ていくと何か良い変化があるかもしれません。

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